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"name": "かきのたね",
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"description": "情報科学研究科 目指せ研究者",
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"postDate": "2024-12-24T04:13:28.677Z"
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src/content/blogs/20241220_kaki.md

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title: 僕が博士になるまで (修士一年編)
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description: 博士過程に進学することを決めた凡人学生の備忘録です。
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category: other
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author: kaki005
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tags: [advent-calendar]
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# はじめに
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この記事は[OUCC Advent Calendar 2024](https://adventar.org/calendars/10655)の25日目の記事です。
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はじめまして。OUCCのOBで修士一年のかきのたねです。
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学部時代は工学部電子情報工学科に在籍し、今は情報科学研究科にいます。
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私は博士過程に進学することを決め、研究に勤しんでおります。
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一年前まで選択肢にすらなかった博士進学をなぜ決めたのか、またどんな生活を送っているのか、4月から12月までの9ヶ月を振り返っていきます。
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後輩の進路を決める参考の一つとなれば幸いです。
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ちなみに研究室や分野によって事情が変わるので、これがすべて正しいわけではないことをご理解ください。
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# 進学のきっかけ
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もともと憧れはありつつも、博士といえば卒業大変とか孤独とか社会で使えないとか、あまりいいイメージを持ってませんでした。
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ではなぜ進学を決めたのか。
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- それはうちの教授が博士進学を強く推していて、教授の熱弁に感動したこと。(ちょろい)
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- 困らない程度の金銭的援助をいただけること (外部の博士支援プログラムも含めて)。
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- プログラミング言語の勉強より数学の勉強が好きだったので、長所を活かせるかなとおもったこと。
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# 4月から12月でやったこと
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## 生活ルーティン
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- 朝起きて9時までには研究室に行きます。基本的に夜22-24時まで研究します。
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- 土日も暇な日は研究室に行きます。
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- 研究者ならあたり前だよね!!!!!
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## 授業を取る
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- 院の単位は1年前期でほとんど取れます。
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- しかし博士過程の支援プログラムを取った場合はそれ専用の授業があるため結構忙しいです。
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40+
## ひたすら勉強
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渡された研究テーマは「ガウス過程」。最初はなんのこっちゃ状態でした。指導教員のあんまり詳しくないので頼れません。
42+
43+
ということでまずはお勉強です。ベイズ統計の本を読んでいきました。
44+
- 読んだ本 :
45+
- [機械学習プロフェッショナルシリーズ](https://www.kspub.co.jp/book/series/S043.html)
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- 特にガウス過程、トピックモデル、ノンパラメトリックベイズ、変分ベイズ はベイズの勉強で読み込みました。
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- [パターン認識と機械学習 ](https://www.amazon.co.jp/%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E8%AA%8D%E8%AD%98%E3%81%A8%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E5%AD%A6%E7%BF%92-%E4%B8%8A-C-M-%E3%83%93%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97/dp/4621061224)
48+
- 言わずとしれた名著。難しかったが、ベイズの勉強に読んだ。
49+
50+
- 学んだことはひたすらNotionに書き込みます。阪大生は阪大のメアドでアカウントを作ると無料で使えます。[エバーグリーンノート理論](https://note.com/verslaazur/n/n8e8ec238991f) に基づき、第二の脳として記録を残しておくと、あとですぐに思い出せて便利ですよ。
51+
52+
## ひたすら論文読み
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次に論文読み。研究者にとって論文読み = 筋トレですからね。
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最初は1日一本読むのがやっとの状態でしたが、毎日ひたすら読んでいきました。
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面白いもので、ひたすら読んでいくと読むスピードが上がるんですね。
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今年だけで200-300本ぐらい読んだ気がする。
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今ではググる感覚で論文を読めるようになりました。
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- 参考: [落合陽一式論文の読み方](https://qiita.com/lotushk95/items/e2f5489ed51a7dd6a1af)
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## モデル考案、実装、実験からの挫折
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論文を読んでいくと、既存のモデルの欠点が見えてくるんですね。
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ということでアイデアをもとに実装!!!
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これがまた大変でした。
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確率的プログラミングってどうやるんや?(numpyroやblackjaxみたいなライブラリはある)とこれも試行錯誤しながら勉強しました。
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69+
ようやく実装できていざ実験! っと思ったら束の間、うまく学習してくれない。
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71+
やっぱり理論だけで考えても机上の空論ですからね。
72+
実際に動かしてみて初めて、自分の理論の間違いに気づくんですね。
73+
74+
今年はこれを3,4回繰り返しで終わってしまった。。
75+
目標にしていた学会の締切まで一ヶ月なのですが、間に合うのでしょうか。
76+
77+
## 学会参加
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[IBIS2024](https://ibisml.org/) に参加しました。
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発表できる成果はないから聴講ですね。
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埼玉県に行きましたが観光する余裕はなかったです(そもそも観光地が少なかった)。
81+
読んでた本の著者がたくさんいてすごかった!!!
82+
特にノーベル賞で話題の甘利俊一先生に会えたのが超嬉しかった!!!
83+
84+
# 博士進学のメリット
85+
- 研究楽しい。
86+
- これ大事。やりがいないとやってられない。 
87+
- 自分の専門分野を持てる
88+
- 数学面では就活している同期とは比較にならないくらいの実力がついていると思います。
89+
- 企業に就職してからも、自分の専門分野があることで他の人と差別化できるのかなと思っています。
90+
- 色々苦戦してますが、それが将来自分の力になると信じています。
91+
- ストイックになれる(ならざるをえない)
92+
- 自分に言い訳できないので、自分に厳しくなれる。
93+
- 博士課程という資格がとれる
94+
- 博士持ちの方が出生しやすいらしい(企業による)
95+
96+
# 博士進学のデメリット
97+
- 友達との交流が減る。
98+
- 仕方ない。OUCCの活動にも参加できてない。
99+
- 病む
100+
- 研究はうまくいったりいかなかったりするので、しんどいときはしんどい。
101+
- 特に自分より努力してない学生が研究成果出してると比べて病む。努力してる分実力はつくんだけどね。
102+
- 自分の報酬の目的関数を成果が出るor出ないのような2値関数にすると病みます。
103+
- なのであくまで比較対象は自分であり、自分の成長をモチベーションにするのが大事だなと感じています。
104+
105+
# 将来の進路
106+
今のところは卒業したら就職する予定です。アカデミアは魔境なので。
107+
108+
情報系ならエンジニアとしての仕事に困らないはず?????
109+
少なくともそんじょそこらの修士卒よりは苦労してて実力付いてるからね。
110+
111+
ただ研究を続けたいなら話は別で、基本的に中途採用を狙うことになるんですが、自分の専門と合う募集は少ないので、自分の好きな研究ができるかは運次第。
112+
画像処理とかLLMとかの流行りの分野なら募集は多いので、研究分野を変えなければいけないかも。
113+
114+
あと人脈がすごく大事で、学会やワークショップで仲良くなった人から、内部の情報を教えてもらったり仕事を紹介してもらえたりする。
115+
結局コミュ力がすべてなんですわ。
116+
117+
118+
# まとめ
119+
いまのところは後悔は全くないです。成功か失敗かはこれからの自分の努力次第なので、頑張るのみです。
120+
## 博士はおすすめ?
121+
- 人によるし研究室によります。研究室見学をしっかりして決めたほうがいいです。
122+
- 阪大は今博士を増やそうとしていて、博士学生支援プログラムもあるので多少の生活費はもらえます。
123+
- ただ研究室の環境によって成長度合いが変わるので、研究室を選ぶ際は研究分野だけでなく、研究指導員の質や資金力も大事な気がします。
124+
- 博士に興味がある方は質問歓迎です。

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